It's not all, but... One and Only my shining star!
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機動戦士GUNDAM SEED
-- Another Side Story
Here it starts with...
Descripted by Veneficus.
始まる刻
陽光が明るく差し込むテラス。
ピンク色の髪をなびかせて少女が告げた。
「フレイには、その血の色の制服は似合いませんわ」「・・・そうね」
テーブルを挟んで正面に座る赤い髪の少女が自分の身につけた赤い制服に目を落として頷く。
ザフト、トップガンの印。
赤の制服にフレイ・アルスターは身を包んでいた。
「クルーゼ隊に転属になったの。ラクスやシーゲル様にはいろいろとお世話になったから、ちゃんとご挨拶をって思ったんだけど」
フレイは両手で包むように持ったカップを口元に寄せた。ハーブのさわやかな香りが、湯気とともに漂う。
フレイの父、ジョージ・アルスターが地球連合軍の攻撃で死亡して、すでに半年が過ぎようとしていた。少しファザコン気味で甘えん坊な少女が、こうしてザフトの軍服に身を包み撃墜王の一人としてその名を馳せるなど、半年前までのフレイを知るものにとってはとても想像がつかなかっただろう。
プラントの人々は少女を賞賛する。
ナチュラルでありながらコーディネイターの娘のために地球連合とプラントの外交関係の修復に努めようとした父と、外交使節に対する卑劣な攻撃によって父を失い、今は武器を取った娘。
その娘がエース・パイロットとして多くの戦果を上げるという物語は美談としてザフトにより積極的に流布されている。
しかし、ラクスは知っていた。
目の前の少女が時折、彼女を賞賛するプラントの人々を軽蔑した視線で見つめていることを。作り物の笑顔で冷ややかな視線を投げつけていることをよく知っていた。
「ところで、一つ訊いてもいい?」
フレイがラクスに切り出す。
「なんでしょう?」
「わたしをクルーゼ隊に押し込んだのは、なぜ?」「・・・」
ラクスが手元に抱えているピンクとブルーのボール型のロボットを優しく撫でた。
「何をおっしゃっているのか、よくわかりませんわ?」「ふざけないで!」
フレイはばんと両手をテーブルにたたきつけると勢いよく立ち上がった。
「クルーゼ隊は優秀な人材を集めたエリート部隊。でも、実質的にはプラント良家の子女を集めた評議会の親衛隊だわ。そんなところに、何の後ろ盾も無いわたしが入れるはずが無い!
誰かの後押しがあったんだって、そんなことぐらい、わたしにだってわかる。
あとは簡単なことでしょう?
わたしと関係があって、親衛隊の存在を快く思わない評議会議員。シーゲル・クライン評議会議長以外にいないわ」
フレイはラクスを睨み付けるように見下ろす。ラクスは腕の中から飛び出すハロを見つめた。
「フレイ、あなたは自分の力で、『赤』の制服を手に入れられたのです」『ハロハロ』
「・・・同情なんか要らない」
吐き出すようにフレイが顔をそむけた。ラクスは拒絶を態度であらわすフレイの姿に小さくため息をついた。
「とりあえず、お掛けになってください。落ち着いてお話ししましょう」「・・・」
ラクスはこのある意味とても不器用で直情的な少女にどう説明したものかと考える。フレイはラクスにちらりと視線を向けながら拗ねるようにちょこんと座った。思わず、ラクスは笑みをもらす。
「なに?」「いえ・・・」
ラクスは目の前の少女がこれ以上へそを曲げないよう何事も無かったかのように首を振った。その様子を疑わしげに見つめるフレイだったが、とりあえず、ラクスの言葉を聞くのが先決とじっと彼女を注視した。
「ラウ・ル・クルーゼ。フレイはあの方をどう思われます?」
「・・・あの変態ぃ?」「ぷッ!」
あまりにも素直すぎる言葉に、ラクスは思わず吹き出した。
「・・・」「クスクスクス・・・、ご、ごめんなさい。あまりにも率直なお答えでしたから」「なによぉ・・・」
フレイは涙まで浮かべて笑いつづけるラクスの姿に思わず口を尖らせた。
「あんなの変でしょ? だって、仮面で顔を隠すなんて、芸人か後ろ暗い事してるからに決まってるじゃない。
なんでみんなあんなのを放っておくのか信じられないわ」「フフフ・・・、そうですわね」
ラクスはゆっくりと頷いてフレイに同意を示した。
「顔を隠すという行為には、表情を隠したい、他人に自分の表情を見られたくない、本心を隠したい、そういう心理が見受けられますわ。もしくは、自分を自分で無い存在として、心の安静を保つという保身。
フレイ、あなたはプラントの精鋭部隊を率いる人物がそんな人物だとしたら、どう思われます?」
「まずクーデターを心配するわ」「あらあら。信用されておられないのですね」
「当たり前じゃない」
ラクスはフレイの表情を見て安心した。この少女はある意味でとても庶民的だった。
良くも悪くも対人関係を印象で判断する。あたりまえの事をあたりまえのように感じ取る。それができるフレイはラクスにとって『普通』を認識する大切な観察対象だった。
「あのヒト、なんかわたしを見る目が気持ち悪いのよ。・・・まるで、わたしの価値を鑑定してるようで」
フレイは表情を翳らせてそっと自分の肩を抱く。
時折、気づくことがある。あのラウ・ル・クルーゼの視線。
骨董品の鑑定でもするかのように自分の知識と照らし合わせながら、これにはどれほどの価値があるだろうか、と面白がるようなまなざし。自分が人間ではなく単なる店頭に並べられた商品になってしまったような居心地の悪さがある。
でも、フレイは思う。
他の人間も同じだ。ラクスからも、時々投げかけられる試すような言葉や視線に苛立たしく思う。
試さなければ信じられない。
それは、政治的には正しいのだろう。しかし、自身の人間性を投げ捨てたところにある信用など、どれほどの価値があるのだろう。試さなければ信じられない。測らなければ愛せない。そういう意味で、フレイはラクスのことを哀れに思うことがある。
そして、無邪気な笑顔の向こう側にある素顔が怖い。
だから、フレイは言葉を紡ぐ。立ち止まると、恐ろしい所まで立ち入ってしまいそうだったから。
「パパがいなくなって、なんかすべてが変わってしまったみたい」「・・・」
ラクスはため息と共にうつむくフレイを見つめ、手の中のハロを優しい手つきで撫ぜさすった。
「戦争が続けば、もっと変わって行きますわ」「!!」
ラクスの言葉にフレイはびくりとする。
「ですから、フレイにはクルーゼ隊に行ってもらいます。この戦い、その果てを見に」
プラントの軍港に停泊する水色の戦艦。
フレイは規定の量の荷物を片手に自分が乗るナスカ級戦闘艦ヴェサリウスを待合室の窓から見つめていた。
そこにあるのは戦いの船。
破壊と暴力の限りを尽くすために生み出された凶器の塊だった。
「みんな、戦争って熱病に浮かされている・・・」
フレイはため息と共にシールドされた硬質ガラスの向こうを透かし見た。真黒の宇宙に輝く星星は揺るがず、凍りついたような真空を映いている。
そう、誰もが戦争の熱に浮かれているようだった。
優秀なはずのコーディネイター、理想郷の賢人政治であるはずの最高評議会。彼らですら血のバレンタインと言う言葉一つで安易に思考を停止し、流された血が招く熱狂の中にはしゃいでいる。
そして、戦争とは遠くの場所で見つめているはずのラクスすらも・・・。
かつて大切なヒトと月の大地から仰ぎ見た天上の星々を思いながら、フレイはふと怯えるように周囲を窺った。
誰もいない。
罪悪感に怯えるように、心の奥底から、吐き出すように呟く。
「戦争なんてするヒト、みんな、みんな殺しあって死んじゃえばいいんだわ・・・」
その言葉を受け止めた分厚いガラスは、まるで世界そのもののように硬く冷たかった。
あとがき
えーと、うぇねふぃくす、です。種ぽの二次小説、If物始めました。
本編における、ナチュラル役立たずの代名詞、がんばればがんばるほど裏目に出て、犬なんか大嫌いと言いながら3日も飼うと情が移る、フレイ・アルスターがもしコーディネイターとしてプラントに住んでいたら、という物語です。
コーディネイターとして能力はすごい第一世代ですが、相変わらずです。
それでは、よろしくお願いします。