西暦227656018192071年。
目覚めた意識と共に発せられた問いに、心のどこかから答えが浮かび上がる。
ため息をつくように頭を垂れ、周囲の微かな水素分子を強制的に圧縮し、掃き出される輻射熱によって自己の情報体を組織化するエネルギーとする。引き延ばされた時間の中で数十年の時を掛けて情報を参照し、自己の存在を意識した。
周辺宇宙の温度は10マイナス58乗ケルビン。運が良かったとも言える。一瞬の眠りの中に数百万年の時が過ぎ去っていた。もしかしたら、そのまま目覚めることもなかったかもしれない。
単位宇宙あたりのエネルギー密度は極限にまで減少しつつある。このあたりはまだエネルギー密度の濃い場所だ。それでもこの輻射温度ではそれ以外の宇宙空間を想像するまでもない。
宇宙は今、死につつあった。
数多の文明は消え失せ、数多の生命体は死に絶え、陽子すら崩壊し、私に微かなエネルギーを与えるだけの限りなく透明に近い、無の世界。時間すら膨張する空間の中に力を失い、果てを押し広げる光子の動きも制止しようとする、全てのあり方が行き着く、熱的死が訪れた遙かな時の果て。ここより先はなく、ここに終わりはなく、全てが存在せず、ただ、何もないことだけが広がる、終わり。それがここだった。
そんな世界に私はまだいた。いや、もちろんそれもそう長くないことはわかっていた。
ブラックホールすら蒸発し、宇宙はひたすらただ空間にのみ満たされ、何も動くものとて無く、ただあることすら消えて行くそんな世界に私も消えて行くことは必然だった。
何もない。
呟きを考えるのにどれほどの時間が過ぎ去っているのだろうか。空間の時間を推進させるエネルギーすら存在しないこの世界で、物事を考えることは酷く困難だった。当然のことだ。私の身体はすでに数千光年のオーダーとなっている。しかし、構成する情報のほとんどは過去の時の中に捨て去ってしかった。ただ、今このときを考えるために、宇宙に残った微かなエネルギーを消費し、ただ存在するだけの生に費している私だった。
宇宙の果てに辿り着き、宇宙の死と共に今死につつある。
想う。なにとは無しに思考を押し進める。
全て消えてしまった。過去も、未来も、繁栄も、栄光も、喜びも、悲しみも、ただ、この死の中に無として消えて行く。何も残すこともなく、何も伝えるものもなく、もはや答えるものもないこの宇宙に消えて行く。まるで、何も初めから存在していなかったかのように。激しい戦いの日々も、笑いあった友も、見つめ合った恋人も、まるでただ、静かな水面に起きた波のように広がり、何も残すことなく、いま無になろうとしている。
思い返す記憶もすでに宇宙の死と共に失われ、ただ今、ここで物思う私が、こうして消えて行こうとしている。
・・・・・ああ。
ドウシテ、なにもかもキエテしまうのだろう。
ナニモ、残らない。きおくもおもいもかなしみもスベテガキエル。
アア・・・・。
キエル・・。
ナニモ・。
ナイ・。
・・。
・。
・
Everything has come to be nothing......